個人住民税税制改正について(平成19年度課税以後から関係するもの)

更新日:2024年03月15日

平成19年度課税以後から関係するもの

国から地方への税源移譲による税率構造の改正

地方にできることは地方に。より身近な行政サービスが効率よく行なえるよう、地方分権の推進のために、国税から地方税へ、約3兆円規模の本格的な税源移譲が実施されます。

この税源移譲にあたっては、所得税及び個人住民税の役割分担を明確化するとともに、全ての納税者の負担が増えないように最大限の配慮がされます。

具体的に所得税については最低税率を5%に引き下げ、最高税率を40%にした上で、現行の4段階から6段階の税率構造に改正されます。また、個人住民税の所得割の税率については、現行の3段階の超過累進構造から、所得の多い少ないに関わらず一律10%とする比例税率化(フラット化)に改正されます。(県民税を4%、町民税を6%)

(グラフ)個人住民税の所得割の税率構造見直しのイメージ図

この改正により、税率構造が全面的に改められますが、あくまでも、国から地方への税源移譲が目的とされていますので、個々の納税者が支払う所得税と個人住民税との税率の合計額に増減を伴うものではありません。

所得税と住民税の税率構造の改正(平成18年度税制改正)

改正前の所得税
課税所得 税率
330万円以下 10%
330万円超
900万円以下
20%
900万円超
1,800万円以下
30%
1,800万円超 37%
改正前の住民税
課税所得 税率
200万円以下 5%
220万円超
700万円以下
10%
700万円超 13%
改正後の所得税
課税所得 税率
195万円以下 5%
195万円超
330万円以下
10%
330万円超
695万円以下
20%
695万円超
900万円以下
23%
900万円超
1,800万円以下
33%
1,800万円超 40%
改正後の住民税
課税所得 税率
一律
減税措置
人的控除の差を
考慮した減額措
置を実施
10%
 
  1. 表中の個人住民税の税率は、県民税と町民税を合わせたものです。
  2. 人的控除額の差とは
    扶養控除及び基礎控除等で、所得税ベースでの所得控除額と住民税ベースでの所得控除額の違いによる差額のことです。

しかし、個人住民税が一律フラット化されることにより負担増となる層が生じたり、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用をされている方(平成11年から平成18年までに入居された方に限ります。)の中には控除される所得税が減少する方も生じてくることから、それらの場合については個人住民税で減額措置が講じられます。

人的控除額の差に基づく負担増の減額措置

個人住民税の課税所得が200万円までで適用税率が5%だった方については、税率が10%になりますので、たとえ所得税率と個人住民税率の合計に変わりがなくても、所得税と個人住民税の人的控除の額の差により負担が増加するケースが生じてきます。この税源移譲による負担増を調整するため、個人住民税の合計課税所得金額(課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額)が200万円以下の方については、人的控除額の差の合計額又は個人住民税の合計課税所得金額のいずれか小さい額の5%を個人住民税額から減額するなどの方法で対応することになります。

具体的には、所得税と個人住民税の人的控除額の差に基づく負担増を調整するため、個人住民税所得割額から次の額が減額されます。

個人住民税の合計課税所得金額が200万円以下の方

人的控除額の差の合計額と個人住民税の合計課税所得金額のいずれか小さい額の5%

個人住民税の合計課税所得金額が200万円超の方

    {人的控除額の差の合計額 - (個人住民税の合計課税所得金額 - 200万円)}×5%
    ただし、この額が2,500円未満の場合は、2,500円とする。

人的控除額一覧表
人的控除名称

所得税の

人的控除額(参考)

住民税の

人的控除額(参考)

人的控除額の差
(所得税-住民税)
障害者控除(普通) 27万円 26万円 1万円
障害者控除(特別) 40万円 30万円 10万円
寡婦控除(一般) 27万円 26万円 1万円
寡婦控除(特別) 35万円 30万円 5万円
寡夫控除 27万円 26万円 1万円
勤労学生控除 27万円 26万円 1万円
配偶者控除(一般) 38万円 33万円 5万円
配偶者控除(老人) 48万円 38万円 10万円
扶養控除(一般) 38万円 33万円 5万円
扶養控除(特定) 63万円 45万円 18万円
扶養控除(老人) 48万円 38万円 10万円
扶養控除(同居老親) 58万円 45万円 13万円
同居特別障害者加算 35万円 23万円 12万円
配偶者特別控除
(38万円超40万円未満)
38万円 33万円 5万円
配偶者特別控除
(40万円超45万円未満)
36万円 33万円 3万円
基礎控除 38万円 33万円 5万円

 

分離課税等に係る個人住民税の税率割合等

本格的な税源移譲の実施に伴い、所得税及び個人住民税の税率構造が改正され、個人住民税の所得割の税率については、一律10%とする比例税率化に改正されます。この住民税の町民税と県民税の税率については、国庫補助負担金改革のおける各都道府県と市町村への影響額を基本としつつ、基礎自治体である市町村の果たす役割にも留意するという観点から、町民税が6%、県民税が4%とされます。

この割合に合わせて、分離課税等に係る町民税と県民税の税率割合が平成19年度以後の個人住民税から次のように改められます。

分離課税
区分 備考 改正前の県民税 改正前の町民税 改正後の県民税 改正後の町民税
長期譲渡のうち一般の土地、建物等の譲渡所得   1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
長期譲渡のうち優良住宅地の造成等のための譲渡所得
(特別控除を適用しない場合)
譲渡益2,000万円
以下の部分
1.3% 2.7% 1.6% 2.4%
長期譲渡のうち優良住宅地の造成等のための譲渡所得
(特別控除を適用しない場合)
譲渡益2,000万円
超の部分
1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
長期譲渡のうち一定の居住用財産の譲渡所得
(特別控除を適用しない場合)
譲渡益6,000万円
以下の部分
1.3% 2.7% 1.6% 2.4%
長期譲渡のうち一定の居住用財産の譲渡所得
(特別控除を適用しない場合)
譲渡益6,000万円
超の部分
1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
短期譲渡のうち一般の土地、建物等の譲渡所得   3.0% 6.0% 3.6% 5.4%
短期譲渡のうち国、地方公共団体への譲渡所得   1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
株式等に係る譲渡所得等   1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
上場株式等に係る譲渡所得等 優遇税率 1.0% 2.0% 1.2% 1.8%
先物取引に係る雑所得等   1.6% 3.4% 2.0% 3.0%
土地の譲渡等に係る事業所得等 平成21年度まで
課税停止中
3.0% 9.0% 4.8% 7.2%
肉用牛の売却による農業所得   0.5% 1.0% 0.6% 0.9%

平成20年12月31日までの間は表中の税率が適用されます。

税額控除等
区分 備考 改正前の県民税 改正前の町民税 改正後の県民税 改正後の町民税
配当控除における控除率 課税所得金額
1,000万円以下の部分
0.8% 2.0% 1.2% 1.6%
配当控除における控除率 課税所得金額
1,000万円超の部分
0.4% 1.0% 0.6% 0.8%
外国税額控除における控除限度額   国税控除
限度額の10%
国税控除
限度額の20%
国税控除
限度額の12%
国税控除
限度額の18%
配当割額又は株式等譲渡所得割額の控除における割合 優遇税率適用の間は県3分の1・町3分の2 32/100 68/100 2/5 3/5

平成20年度分以後の個人住民税から適用されます。

税源移譲に伴うその他所要の措置

個人住民税の税率が一律10%にフラット化されることにより、通常の所得割の税率表(累進税率を前提とした規定のあるもの)を用いて所得割額を算出していた次の所得について課税方法が見直されます。

  1. 山林所得の5分5乗方式による課税方法が廃止されます。
  2. 変動所得及び臨時所得の平均課税による課税方法が廃止されます。
  3. 退職所得に係る特別徴収税額表が廃止されます。

1・2の見直しは平成19年度分以後の個人住民税から適用されます。

3の見直しは平成19年1月1日以後の退職所得に係るものから、一律町民税6%・県民税4%の税率が適用されますが、当分の間は、そうして求められた税額から10%に相当する金額を控除するものとされています。

定率控除(減税)の廃止等

平成19年度から定率控除(減税)が廃止されます。

平成18年度分(現行)

個人住民税所得割額の7.5%相当額。7.5%相当額が2万円を超える場合は2万円

平成19年度分(改正後)

廃止

今回の税制改正による定率控除(減税)の廃止は、個人住民税については平成19年度課税分から、所得税については平成19年分の確定申告、年末調整から適用されます。

配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除に係る還付の充当規定の整備等

上場株式等に係る配当所得及び、源泉徴収の選択をした特定口座において管理されている上場株式等に係る株式等譲渡所得について、特別徴収された地方税を平成17年度以後の個人住民税から、申告書に配当割額、株式等譲渡所得割額として記載した控除の適用がある場合には、当該配当割額控除額又は株式等譲渡所得割額控除額に県民税3分の1、町民税3分の2(平成20年度以後は県民税5分の2、町民税5分の3)を乗じて得た金額が定率控除後の県民税、町民税の各所得割額から控除されています。

この制度の下で、定率控除後の所得割額から控除しきれなかった金額があるときには、その金額は控除不足額として申告者に還付されていますが、次の問題点がありました。

  1. 所得割額に控除不足額が生じた場合に還付を行なう一方で、均等割額からは控除することができない規程がなされているために、均等割額のみを課税するという状況が生じ納税者に混乱を招く恐れがある。(同じ年度内の課税時期において、還付通知書と納税通知書が同一に送付されることがあり得るため。)
  2. 道府県民税所得割額から控除することができなかった控除不足額が生じた場合、これまで市町村が道府県の支出すべき金額についても負担して、納税者に還付又は充当をしていましたが、市町村にとっては不合理である。

以上の問題点について、平成19年度以後の個人住民税から、次の通り充当規定が整備等されます。

  1. 配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除に係る還付が発生した場合、還付額の個人住民税均等割額への充当及び、個人住民税の道府県民税・市町村民税間での充当することを可能とした。
  2. 道府県民税所得割額から控除することができなかった控除不足額が生じ、これを市町村が道府県の支出すべき金額についても負担して納税者に還付又は充当をした場合、道府県は市町村に対し還付した実額を調整(交付)することとした。

 

 

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